冬は悪質だ。

いやさ、冬ってあんま汗かかないだろうと思うじゃない。
だがそれは違った。外と室内での気温の差とか、まあよくわからないけれど様々な要因によって、僕の脇汗はとどまるところをしらないようだ。一番下に着てる服が濡れるのはあたりまえ。脇汗はその上の服を濡らし、場合によってはさらにその上の服まで湿らせる。
去年もこんな感じだったろうか。もはやそんなことは忘れてしまったが、今改めて、夏や冬は地獄だということを痛感させられる。秋に戻りたい。もしくは春へ飛んでいきたい。
もちろん手汗のほうも大賑わいだ。この両手は僕にいったいなんの恨みがあるのか知らないが、まったく一日中湿っている。これじゃあ女の子と手をつなぐことも出来ないな、と思ってみても、もちろんこんな僕にはそんな相手が現れることなんてないので杞憂に過ぎないというのだから、うれしいのやら悲しいのやら。
本当に僕という存在は、振り返ってみれば振り返ってみるほど、良い点がない。ならば、自分でも気づいていない隠されたすごい能力があってもおかしくないのではないか。でも世界には僕と同じくらい駄目な人間だってたくさんいるだろうし、僕以下の人間だっているだろう。やはり中途半端であることがまたよくない。隠されたすごい力が欲しいなら、まず普通からかけ離れなければならないだろう。
まあそんなことはどうでもいい。なぜなら僕は中途半端だから。
妄想してどうにか過ごそう。僕が活躍できる世界はそこだけで、それはいい時間つぶしになる。