これって隠し機能なのかな、かな。

暇だったので今日もタイピング練習に勤しんでみました。しかし左手が思うように動いてくれず、「お前は何をやっても駄目だな!」と思わず叱責してしまい、その後ことの重大さに気づいた僕はあわてて左手に謝るのでした。
それでもむしゃくしゃしたので、F2を押してみました。するとタイプウェルがしゅるるるると音をたてて小さくなってゆくではあ〜りませんか。そこに残ったのは、あらゆる無駄を排除した、洗練されたボディのタイプウェル、そのものなのでした。驚き、思わず「あっ」と小さく叫んでしまった僕でしたが、しかし、動揺を悟られまいと気丈に振舞います。
「ぬし、いずこよりあらわる」
「吾は万物をつかさどるもの」
「なんと、『つかさ取る』と申すか。そうはさせぬ。柊つかさはミーのワイフなり」
「吾に歯向かうというのか。よかろう、かかってこい」
「いざゆかむ!」


カタカタカタカタッ!!!!


大地を揺るがすタイピングの音――。


キィンッ! ガチャッ! チャチャチャガチャチャチャチャチャチャチャガチャチャ! ギュゥゥウウーーン!! シュピーン! ドゴベショァ!! ジャッ! ジョゴォッ!


永遠にも思われたその戦い――。
――だがしかし。


ブルワボシュァゲシュタルトホウカイゥウウヲボゴ!!!!!


「ハァ……ハァ……ハァ……! うゴポッ!」


エフテムの口からあふれ出す大量の血液。――勝負がついたのは、この一瞬のことであった。


「フハハハハ! 脆いッ! 人間は実に脆い!! そして醜い! 跪けェッ! そして救いを求めるがよい!!」
「ハァ……ハァ……ハうゴポッ! ゴホッ! ゴホっ!」


薄れゆく意識の中、エフテムは――、つかさの姿を、見た。今はもう瞳に差し込む光も微量で、世界は完全に闇に包まれようとしていた。しかしそこにつかさはいた。目がくらむほどの後光。彼女は天使のように笑って――彼女こそが天使であるのかもしれないが――、エフテムに手を差し伸べた。


「つか……さ……」


「ふん……。死ね」


グシャッ…………。


そしてあたりには静寂が戻った。まるで今まで起きたことが全て嘘だったかのような、そんな優しい静寂が、部屋中に流れていた。
地球は回り続ける。だがその裏に、このエフテムのように地球を影で守る存在がいるからこそ、人々は笑っていられるのだ。ありがとう、エフテム。ありがとう、つかさ。そしてかわいいよつかさ。