たまには好きだった子の話でもしよう

小学生の頃好きだった子が、うちの学校に転校してくる夢を見ました。「まさか大学1年生になって、あの子とまた会えるとは……!」って椅子に座りながら思う僕。どんな奇跡起きたんだよオイ。
でもこのパターンの夢は決して珍しいわけでもないのです。今までにも何度かこういう夢を見ました。中学生のときにも、高校生のときにもみました。もちろん全て、その子が転校してくる夢です。よっぽど記憶に残ってるんでしょうね。深層心理? よくわかんないんですけどね。
本当かわいかったんですよ。今ここでは仮にMちゃんとしますけどね、とにかくもう好きだったんですよ。
でも今となっては「好きだった」という気持ちだけが残ってるような気がします。正直顔とかよく覚えてません。それに思い出も特にありません。……と! いやしかしあるんですね! ひとっつだけあるんですよこれが! これ前にも書きましたっけ。いや書いててもいい。そういうテンションだから!
なんと! その僕の好きだったMちゃんが僕の家に遊びに来たことがあるのです!
いやーすっごいよね。ほんとすごい。よく誘えたよね。僕すごい。小学生の僕すごいよ。まあもちろん二人っきりってわけじゃないんですけどね。ゲーオタのK君もいて、3人だったんですけど、とにかく嬉しかったですねーあのときは。だって自分の家に好きな子がくるんですよ? もうウハウハでしょ。本来リア充にしか許されない行為なんですよこれは。どうやって誘ったのか、もうよく覚えてないんですが、K君がいるってことから推測するに、ゲームでつったんでしょうね。Mちゃんもポケモンとか好きでしたし。当時から人間関係の苦手だった僕は、K君のことを「こいついつも楽しそうにゲームの話するけど、僕そのゲーム知らないし、全然面白さがわかんないんだけど? あー、適当に相槌打ちながら愛想笑いするのにも疲れた。にげてー。はやくかえりてえ」と思っていたのですが、流石にこのときは感謝しましたね、K君に。K君がいなければMちゃんが家にくるようなことはなかったでしょう。ありがとうK君。
そうしてMちゃんが家に来る運びになったわけですが、今思い返してみればそれは悲惨な? 結果? なのではないかと? 思うのですけども、当時の僕はMちゃんが家に来てくれたってことだけでよしとしていました。具体的にその内容を思い返してみると、Mちゃんは終始つまらなさそうな顔をしていた気がする。なんとかしようと思った僕は、おもむろにダンスダンスレボリューション専用コントローラを広げると、ピョンピョン跳ね回って踊りました。「僕すごくね? やばくねこの矢印? こりゃまじかっこいいっしょ。惚れるしょ? いやそりゃしょうがねえよ。だってダンレボだもんな。ゲーセンにもある、あれだからな。ダンレボはやべーよ。ああいいよ、惚れていいよ。どう? 僕の勇姿みてくれた? ほら、SSだってさ。ね?」そう思っても声には出さない僕はシャイボーイ。汗を拭き拭き振り向いてみると、ゲームボーイの画面をぼんやりと見ているMちゃん。あれ? おかしいな、どうしたんだろう。まだ足りないのかな? そうか、じゃあこっちの曲なら……どうだ!? あれ? どうしてだろ? どうして踊ってる僕の後ろでK君と笑いながらおしゃべりしてるのかな……? その笑顔、今日初めて見たんだけど……。なんか今さらそっちのゲームボーイトークに入れるような空気でもないし……ダンレボ……ダンレボしよう! 僕にはダンレボがあるよ。踊ってればいつか僕も話題に入れるかも……!
声「ダーンスダーンスレボリューショーン! サードミックス!」
あ……。ちょっとうるさいかな? ボリューム下げよ。おしゃべりの邪魔しちゃわるいしな。ほんと僕って思いやりの心があるっていうかなんていうか? よーしじゃあ次はこの曲だ! ……ふう。……。ダンレボは……もういいかな? うん、もういいよね、やめよ。なんかもう後ろで無言でゲームボーイやってるじゃん、おふた方。なんとなく、というか、確実に居たたまれなくなった僕はこの状況を打開すべく、また、乾いた喉を潤すべく、飲み物もって来るね、と二人につげると、Mちゃんが「ありがとう」といってくれたのです。僕に向けられるMちゃんの言葉に感動しつつ、颯爽と飲み物をもって帰ってくる僕。その飲み物とはポケモンの缶ジュースなのでした。メダルがおまけでついてるやつ。またMちゃんの「ありがとう」が聞けて僕は大満足。みんなでそのジュースを飲んで、暫くするとMちゃんがまた言葉を発しました。なんだなんだ? なんて言うんだ? 次はなんて言ってくれるんだ?
「私そろそろ帰るね」
あ……そう。あそうそう、帰る、帰るね! おk! わかった! 帰るんだよね、納得。K君も「それなら俺も」といったので、僕は彼らを玄関まで送って、そのようにしてMちゃんの僕んち訪問は終わったのでした。うーん。青春だねっ!
そのあと僕が片付けのために部屋にもどると、そこには缶ジュースの空き缶が。そう、それは紛れもなくMちゃんが口をつけた缶ジュースの空き缶だったのです。「これに口つけたら……間接……キス……?」なにそれなにそれ。そんなこと全く考えてなかったのに! 僕って策士! と、思わぬMちゃんの置き土産に大興奮する僕でしたが、「でもそれって……なんか……なあ……せこいっていうか、Mちゃんを裏切るっていうか……」。というのは建前で、もちろんびびったがために間接キスなんてできませんでした。誰も見てなくても何かを恐れてためらう心! 生まれたときからずっとびびりです。びびびびびび。
……とまあ、これが今でもよく思い出せる思い出なんですけどね。まあ、死にたくなりますよね。なんでこんな思い出くらいしか覚えてないのに今でも夢にみるんでしょうね。ところでこの話前にも書きましたっけ。書いたような気もするんですけどね。いいですよどうでも。僕頭悪いんでそういうの覚えてられないんです。
死にたい。このMちゃんにまつわる僕の甘酸っぱい思い出ひとつとってもそうですが、楽しい思い出が全然ない気がするんです。いや楽しいとかつらいとかそういう問題じゃなくて、そもそも思い出がない気がします。脳おかしいんじゃないかしらん。記憶力の弱さを感じる今日この頃。アニメ見てたってそう。つい最近みたアニメのこともよく思い出せない。登場人物の名前なんて綺麗さっぱりぬけていきますし、どんなストーリーだったかも思い出せない。ゴミ。動くゴミ。ゴミ捨て場にもっていっても回収してもらえないゴミ。本当のゴミ。捨てられないゴミ。ゴミでいろんな人に迷惑をかけていますが、僕だって死にたいんです。死にたい。生きたいわけがない。死にたくないという気持ちがもはやわからないのです。小さいころの僕はすごくそれがわかっていたのに。死ぬのがこわくて、夢は「長寿」。そんな子供でした僕は。他に夢は無かったんでしょうかね。いやなかったんですけどね。先生って、やたらと将来の夢とか書かせたりしません? そういうものが本当になくて。機転を利かせて適当に「サッカー選手」とか周りを見てかけばいいんですけど、僕はずっと馬鹿なのでなにも書けずに泣いてたりしてましたからね。泣くことはないと思うんですけどね。だってみんなすらすら書いていっちゃうのに僕にはなにも思いつかないんです。みんなと違うっていうのは怖いことなんですよ。まあそんなことは皆さんご存知でしょうけど。もちろん周りを見習うにしても友達がいなくていつも部屋の隅っこで立っていた僕が見本にすべき材料なんてものもなかったのですけれど。将来の夢はもうずっと苦しみっぱなしでしたけど、お願い事とか、短冊に書いたりしますよね。それに「長生き」っていう言葉を思いついたときはほんとうれしかったですよ。どれも幼稚園児のころの話ですが、それ以来そういう機会にはずっと長生き系の言葉を書いていたような気がします。そんな感じで夢も特に無かった僕ですが、夢として長生きと書ける程度には子供だったんですね。今となっては夢が長生きだというのには躊躇してしまいます、嘘でも。本心で言えば長生きなんて地獄ですからね。僕が最も恐れているものの一つです。この世っていうのはすべて地獄で、僕ら人間は前世とかどこかで犯した過ちを償うために今こうして生きていると考えたほうが現実味があるんじゃないかと思ってしまいます。ところでこの死にたいっていう気持ちは異常なのでしょうか。それとも僕くらいの歳になるとみんな感じるものなのでしょうか。もうこれが異常だなんて思えないんです。死にたいなんてあまりにも当然すぎる。生きたいという言葉が酔狂に感じられる。結構マジで。果たして死にたくない人は本当にいるのか? 子供は別として、成人した人とか、そういった人で。いるのか? いるのかも。でもなかなか信じがたい話だ。死にたくないなんて正気の沙汰じゃない。みんな死にたいんじゃないの? 本当はさ。でも死にたいように思われないように生きてるんじゃない? 僕はそう努力してるよ。嘘をついているんだ。僕は全然死にたくないよ、生きているのが普通なんだよ、ってそう思わせるように。でも本当はみんなも知ってるんじゃないか? 生きているなんて地獄で、死ぬために仕方なく生きてるって、みんな知ってる? の? かな。まさか本当に死にたくないなんて思ってる人はいるのか? いるとしたら相当頭やばいんじゃないか? みんなもう嘘をつくことなんてやめて、素直に死にたいって言い合えるような社会になればいいのに。そして自殺が自然なことになればいい。もちろんそれが自然なのは当然だし、今の社会は異常すぎる。死にたくないわけないのに死にたくないふりしてみんな苦しんでるんじゃない? 「そろそろ僕自殺するわー」「そっかー、おつかれー」これくらいが普通だろ。いやー怪奇だ。この世は実に怪奇だよ。