脇、その後

脇の皮膚ぜんぜんくっついて無いんですけど僕死ぬんですか、って訊いたら、ああ大丈夫ですよ、とのことでした。
結局、くっつかないところには肉芽腫かなんかができて、次第に周りの皮膚に覆われるように回復するそうです。自分で書いていてどんな経過をたどるのかまったく想像できませんが、お医者さんが言うのできっとそうなんでしょう。一人で部屋で考えていると「本当に大丈夫なんだろうか」と不安になりますが、実際に先生に尋ねて、回答を頂いた時には心底安心できるんですよね。あの先生には人を安心させるなにかがあります。
患部をくっつきやすくする軟膏を処方してもらってるんですが、僕ははじめの頃、「肉と皮の隙間よ、くっつくたまえ!」と、その隙間にもたくさん入り込むように塗ったくっていたのですが、これはあまりよくありませんよね。だってせっかく癒合しようとしても、たくさんの軟膏がそれを妨害してしまいます。これに気がついたのは、「くっつかないのは圧力が足りないからに違いない」と、ピタリと締めた脇を下側にして寝っ転がった時のことです。そのまま体重をかけると、なにか新しい痛みが湧いてきて、どうしたことかと思いましたが、冷静に考えると、――ピタリと閉じることで、行き場を失った皮膚と肉の間の軟膏が、行き場を求めてすでにくっついている部分に猛攻をしかけた、つまりそういうことですよね。
過ぎたるは猶及ばざるが如し。まあ医療の知識なんてひとっかけらもない僕があれこれ思案したところで、すべては取り越し苦労です。生き物には自然治癒力というのがあるそうですし、何より先生が大丈夫といっているんですからいつか治るんでしょう。
このまま俗に言う「再発」することなく、非わきがどもが何の労苦もなしに味わってきたこのベリーイージーな生活を続けていけたらと思います。