フリーエージェント。

卒業式が今日終わりましたが、思っていたよりも感動するものではなく泣かずにはいられない、という人も少なかったように見えました。
でもこのクラスメイトの中にはもう会えなくなる人がたくさんいるんだろうな、と思うと少し切なくなりました。そんな時卒業アルバムが皆に配られ、みな卒業アルバムに夢中になっていると最後のほうにメモページが用意されていることに気がつきました。同級生からのメッセージを永遠に保存できるというわけですね。こういう学校で誰かに何かをしてもらう機会があると体育の「じゃあ適当に二人一組になってください」と同じく自然と体が拒否反応を示すのですが、もう本当これで学校くるのも最後だと思うと、その一時を耐え忍ぶのは楽なことでした。
当然みんな仲良くいろんな色のペンでそれぞれのメッセージを思い思いに書き綴っていたわけで、イケメン君は女子の卒業アルバムにもしゃれのあるメッセージを書き込んでいました。一方僕は誰のにも書き込まず誰からも書き込んでといわれずにボーっとそのイケメン君が卒業アルバムにメッセージを書いている姿を見ていると、こともあろうか「あ、お前も書く?」なんて聞いてきたんです。いやきっと僕がものすごく暇そうにしてたから気を使って言ってくれたんだと思いますが、僕に女子にむけたメッセージを書けと? うん。なんで中学校最後の日まで手とかワキから汗だらだらたらしまくらないといけないんだ。
僕が、え、あ、でも、とか外見どおりの反応をしていると、そのイケメン君、僕に女子の卒業アルバムを押し付けてくるじゃありませんか。困った。ここで受け取らないと「キモいくせに私のアルバム受け取りたくないってどういうこと?」なんていうまったくわけのわからない怒りをかってしまうかもしれない。しょうがなく、う、あ、うん、じゃあ、とかぼそぼそいいつつ受け取ろうとした。が、そのとき。すかさずその卒業アルバムの持ち主が「あああ! イケメン君書いてくれた? じゃあ返して!」と叫ぶように言い放つとイケメン君の手から卒業アルバムを奪い取りました。え? あれ? 助かった…? いやこれは…、なにも助かってないのでは…? と動揺を隠せない僕を尻目にさっそうと他のイケメン君にメッセージを書いてくれるよう頼みに行くその女子。なんだかこれは僕の中学校生活…いや、小学校、幼稚園での生活すべてをうまく表現した一瞬なのではないか。卒業とは別の意味で涙を堪えつつ、僕はひたすら高校受かってますようにと祈った。
ま、いいんだよ? うん、いいんだ。そう、今日で卒業だからね。うん。それに僕だってね、自分の地位とか、レベルとか、そういうのなんか、わかる、つもりでいる、からね。うん。いや、ほんとね、いいんだけ…ど……。


偉大なる将軍様がアレを僕の住む町に落としてくれることを僕は待っています)