僕ならできる、できるとも

隣の部屋から壁を叩かれてる気がしました。ドォン! くらいの勢いで。確かに音楽は聴いているけどもさほど音量大きくはないよなあ。気のせいかなあ。そう思って壁に耳を当ててみたら、何かを叩くような音が聞こえてきました。それはまるでドラムマニアを家庭用コントローラでやっているような――。僕にはこの現状をうまく説明できる理論が思いつきません。しかし壁を叩かれるとビビるのでやめていただきたい。そう思います。


やはり時代は明晰夢なのでしょうか。今こそ二次の世界への門を叩くとき。いったい最後に僕が明晰夢について意識したのはいつのことだったでしょうか。たぶん、すごく、前。そのときも結局あまりうまくはいかなかった。そうして自然のうちに忘れていってしまったのでした。
しかし僕は信じています。「これ、前にもやったんだけど、うまくいかなかったんだよな」というものは、いずれうまくいくのです。そうやって思い出すうちは、まだ情熱が体の深いところに残っていて、無意識のうちに脳がそれをよりやさしい形に解体、組み立てしているはずだからなのです。
だから僕は夢日記をつけようと思います。ああ、夢日記。以前はうまくはいかなかった。日記を書くことすらかなわなかった。なぜなら、眠たいからです。夢を覚えているうちというのは目覚めのそのときだけで、同時にそれは眠たいときだからなのです。おまけに僕は目覚まし時計の音ですっかりきっかり一度きりで目覚めることが少ないのです。往々にして、セットした時刻の30分前とか、1時間前とかに一度目覚めてしまいます。そのときももちろん夢を見ていますから、日記を書かなければならないのですけども、そこで日記を書き始めれば目覚まし時計が鳴るまでの数十分のうちのいくらかを日記を書く作業に費やさなければならなくなってしまうのです。もったいない。無理だ。そんな無駄は僕には無理だ。
でもやります。この宣言の意味するところは、これからは十分に二度寝する時間が残っていようとも、その時間を日記を書く時間に費やすということです。なんと痛ましい宣言なのでしょうか。しかし少年は決意を胸に歩き出します。――二次元の女の子とセックスしてやる、と。